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みんなの留学体験記


新井 栄子さん

日本で小学校の先生を12年間経験後、教育委員会が公認している自己啓発プログラムを利用し、2年間休職。アメリカで、日米の教育制度の違い、特に障害児教育のあり方について、スクールインターン。帰国後教職復帰。


新卒から、12年間の教員生活を送ってきた私にとって「アメリカ留学」はもはやかなわぬ夢になりかけていました。けれどそんなとき、所属する教育委員会の研修制度が改定され渡米できる機会が訪れました。「夢を持ち続けていれば、いつか叶う」ということを心から子どもたちに伝えられる、そして自分の人生の中で宝物と言える、そんな貴重な経験を今回のアメリカ滞在を通してすることができたのです。

 

2004年春、アメリカの初等教育、特に日本より10年先をいっている、と常に耳にしていた障害児教育を学ぶために、一年間のインターンを目的として渡米しました。事前にIGEのスタッフの方に相談したところ、教育レベルが高いとされる、カリフォルニア、アーバイン市の小学校でのインターンを勧めていただきました。現地では、二校をかけもちし、一校は言葉やコミュニケーションに課題をもつ児童が健常児と一緒に学習する通常級、もう一校は障害児教育を専門に行う学級でのボランティア活動を行いました。どちらのクラスでも、主に仕事は担任の補助でしたが、通常級では、時に前に立ち、絵本を読んだり、日本のことを紹介したり、また少人数指導や個別指導をしたりする仕事も行いました。また、ボランティアを行いながら、可能な限り、幼稚園から高校まで現地の教育現場を見学にも行きました。私が見学した学校にはどこも数人の言語療法士をはじめ、カウンセラー、少人数指導を担当する補助員等がおり、援助を必要とする児童に対する支援態勢やシステムがとても充実していました。また、初めて現地校を見学したとき、一年生が一言も会話を交わさず、しいんと静まりかえる中でクレヨン画を描いているのを目の当たりにしたときには、日本の現状との相違に大変な衝撃を受けました。その後ボランティアとしてたくさんの授業を見てきましたが、しつけや校内の規律が日本のものとは比べものにならないほど厳しいことに、今までイメージしていたアメリカの教育に対する印象が大きく違っていたことを実感しました。

 

実際に教育現場に身を置き、システムや体制の違いを目の当たりにした私は、もっと専門的に学んでみたいと考えるようになりました。そこで、一年間のインターンを終えた後、大学院で障害児教育を学ぶことにしました。もちろん、英語力の十分でない私にとってそれはかなり厳しい環境ではありました。−が、周りの学生がほとんど現役の教師という中での学習は得るものも大きかったです。また、提出物や実習、そして一回の授業で教科書を読む量が驚くほど多く、非常に苦労はしましたが、同時に自分の学びたいことを学べる幸せを実感した日々でした。

 

2年間の渡米を終え、現場に復帰した今、ずっと夢に見ていたアメリカで学んだ経験が日々の子どもたちとの関わりの中に大きく生きていることを実感しています。また、アメリカの教育を学んだことによって、日本の教育の優れているところにも目を向けることができたのも大きな財産だと確信しています。もちろん、これらの経験は私一人で行えたことではありません。特に、IGEのスタッフの方には現地の、障害児をもつ親の会を紹介していただき幅広いネットワークを持つことができました。また、私がボランティアをしていたクラスの担任の先生とは一つ屋根の下に住み、公私ともに長い付き合いとなる素晴らしい友人となりました。彼女は昨年の夏、私を訪ねて来日し、日本の小学校を見学していきました。

 

このような素晴らしい経験ができたことに心から感謝し、学んだことを精一杯日々の教育活動に生かしていくと共に、夢を叶えることの素晴らしさと喜びをこれからたくさんの子どもたちに伝えていきたいと思っています。